こんにちは!アマカラ編集部の荒木です!
こちらでは、アマカラおすすめの商品とそのお店のこだわりや想いなど、取材してきた内容をご紹介していきます。
今回は2010年に開窯した「市山くじらや」を紹介します。
落ち着いたパステルカラーにドットやストライプの模様が魅力で、訪れた店舗では素敵な作品が多く展示してありました。
お話を伺ったのは、市山富美子さん。
こだわりの作品のお話だけでなく、開窯のきっかけや天草での生活、これからの目標等、様々なお話を聞くことができました。
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「市山くじらや」ができるまで
(荒木)まずは、「市山くじらや」ができるまでの道のりを教えてください。
私は大学が福岡で、芸術学部で学んでいました。
卒業してからは、そのまま福岡で工房を借りてオブジェなどの創作活動をしていたんです。
どのように生計を立てていこうかと悩んでいた時に、丸尾焼が好きな友人に誘われて、福岡のイベントに出展していた丸尾焼を見に行きました。
丸尾焼は19世紀半ばに天草で創業した伝統ある窯元なのですが、そのイベントに行った際に、丸尾焼の方とお話しすることができて、その後丸尾焼の窯元を見学させてもらいました。
そしてそのまま10年、丸尾焼きで修行後「市山くじらや」を開窯しました。
-天草に行くことに抵抗はなかったですか?
抵抗はありませんでした。
元々は壱岐出身ということもありますし、天草の生活はいろんな方との新しい出会いがあると思いました。
実際にたくさんの出会いがありましたよ。
私自身丸尾焼にいたことで感じたことかもしれませんが、天草には日本と南蛮など、いろんな文化が混じり合っていて、天草の人はそうした文化に親しみ、それを受け入れる風土があるように感じたんです。
そして昔ながらの映画館など歴史が多く残ってることから、文化を大切に守る姿も伺えました。
修行中もいろんな経験や風景に触れることができて、田舎暮らしのフラストレーションはなかったですね。
-天草出身の私としてはなんだか嬉しいです。
それでは、「市山くじらや」について教えてください。
2010年に開窯してから12年が経ちました。
ロゴはアーティストの日比野克彦さんに作っていただいたのですが、素敵なご縁があったからなんです。
2000年に天草で熊本県民文化祭が開催されました。
このイベントを機に、天草は「陶磁器の島」を目指します。
その2000年の県民文化祭のゲストとして日比野さんが招かれたんです。
その後も2001年から2003年までアーティスト交流があったり、国内外の陶芸家が招かれる事があったり、陶芸の多様性と新たな可能性を提案する企画が展開しました。
2004年には「天草大陶磁器展」が開催されます。
日比野さんとは天草市の陶芸の事業を通して関わることも多く、そうしたご縁もあり、独立する事になってから屋号について考えている時に、壱岐の実家が「市山くじらや」といってくじらの肉を取り扱っていることを話したんです。
すると、日比野さんと丸尾焼の窯元である金澤さんから、実家の屋号を継いだらどうかと提案していただき、屋号を「市山くじらや」としました。
この屋号は、最初は「陶芸なのにくじらやでいいの?」といっていた家族も今ではとても気に入ってくれています。
体が資本!大変な事があっても自分のペースを貫いて創作活動を楽しみたい
-いろんなご縁を紡いでこられたんですね。
それでは次にお仕事について教えてください。
やりがいを感じる時はどんな時ですか?また反対に、大変なことはありますか?
やりがいを感じるのは、自分が思っている以上に喜んでいただいたと感じる時です。
「市山くじらや」では作陶も行っていますが、ギャラリースペースもオープンしています。自分で出展し、自分の店舗で販売するのが主になります。
ありがたいことに、以前来店されたお客様がまた来てくださった時、買っていただいた器を使っている様子を直接聞けることは励みになります。
実際の使用感や感想を聞く事ができると、やはり嬉しいですね。
大変なことは、体調管理です。
体が資本なので、自分の気力と体力を維持することが重要になります。
自分のペースでできるので、自由なところもありますが、自己マネジメントが大変だと感じる事もあります。
-お仕事のこだわりや工夫していることはありますか?
仕事を楽しく続けるために工夫していることとしては、同じものを作る仕事も好きなのですが、同じことを繰り返すと新鮮味が薄れるので、合間に1点ものを作っています。
これも自分の状態に合わせて、両方無理なく製作できるようにしているんです。
-今後の課題や夢を教えてください。
何か大きなことをしたい!というよりも、職人的な作品と創作的な作品の両方を作り続けることです。
いずれの商品も気に入ってくださるお客様がいるので、これまで通り両方の作品づくりを継続していきたいと思っています。
《オススメ》ちょっとしたプレゼントにも!小さいサイズで使いやすい「豆皿」
-それでは、商品について教えてください。
作ろうと思ったきっかけはありますか?
大学時代の私自身の経験なんですが、作家作品は欲しいけど価格的に手が届かないと感じた事がきっかけです。
箸置きとか豆皿とか、小さいものだったら気軽に買ってもらったり、持って帰りやすかったり、プレゼントする時にも負担にならないと思います。
プレゼントする人の好みのものを誰かにあげたいなと思った時にも、小さな器だったら贈りやすいと思ったんです。
それに、単純に豆皿は使い勝手がいいこともあって制作しました。
常に小さいものを店頭に並べたいという思いはあるんですけど…。
できたり、できなかったりしています。
-商品のこだわったポイントや、作る際の難しかったポイントなどはありますか?
こだわっている所は、まず質感です。
ライン模様になっている所が少しざらざらしていて、アクセントになっています。
あとはグレーの質感も残したいなと。
細かいポイントですが、1ヶ所ずつそれぞれ違う色を塗っているんです。
ざらざらしている所は、ざらざらした質感のものを塗って風合いを出しています。
ちなみに釉薬(ゆうやく)は1種類だけしか使っていません。
質感を変えると釉薬を変えているのではないかと思われがちですが、使っているのは透明釉1種類で、もともと塗っているものだけでその質感を出しているんです。
あと、豆皿の丸型は、底がくるくる回らないように、安定させることに気をつけています。
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今後の取り組みについて
-最後に、今後作ってみたい商品はありますか?
新しい釉薬を使ってみたいですね。
違う質感の釉薬を作って、「市山くじらや」でしか手に入らないと思ってもらえるような作品が作りたいです。
取材を終えて
市山さんは雰囲気も柔らかく、話し方も穏やかで、ついつい取材予定時間をオーバーしてしまった事は反省です。
来店されたお客様もたくさん話して帰られるそうです。
話しているとこちらもなんだか穏やかな気持ちになり、たくさんお話ししたくなる気持ちがわかります。
「市山くじらや」さんの作品から伝わってくるのは、そんな市山さんの穏やかな優しさです。
取材の際には、市山さんお手製のカップにお茶を淹れてくださり、おすすめのチョコレートもいただきました。
取材の後半には、ランチの話、他の工房の話など、いろんなお話をしてくださいました。
おすすめのカフェは「プロペラプレート」さん。
プロペラプレートさんでは、市山さんの器も使っていらっしゃるそうです。
ぜひ工房へ訪れる際には、素敵な作品はもちろん、市山さんとのお話も楽しんでくださいね!
名称 |
市山くじらや |
---|---|
所在地 |
〒863-2424 |
営業時間 |
10:00~18:00 |
定休日 |
不定休 |
電話番号 |
0969-34-1156 |
SNS |
|
WEBサイト |
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