江戸時代のカリスマ天草四郎
数年前に宝塚の公演を見て以来、ずっと気になっていた歴史上の人物がいます。
その人の名前は天草四郎。
歴史の授業で名前を聞いたことはあったものの、どのような人物で何をした人なのかはっきりとは覚えていなかったのに、舞台で演じられた四郎を見てすっかり虜になってしまいました。
ミュージカル『MESSIAH(メサイア)−異聞・天草四郎−』で明日海りおさんが演じた四郎は、新たな視点でドラマティックに描かれたという説明があり、衣装や音楽や照明、舞台のセットがすべて煌びやか。
仙名彩世さんが演じる流雨という娘との出会いを通じてキリシタンの教えを知る、というオリジナルのストーリーをロマンティックに盛り上げるために、鮮やかな世界を演出しているのだと思っていたのですが・・・。
調べていくと、天草四郎を描いた絵はプリーツのようなひらひらとした襟に金色の十字架のネックレス、赤いマントに青いズボンとなかなか派手!
江戸時代初期に今の時代に見ても華やかだと感じる格好をした青年がいたなんて、どんどん興味が沸いてきました。
謎に満ちた天草四郎を知りに「天草四郎ミュージアム」へ
天草四郎の生年や出生地には諸説があり、いろいろな伝説があるものの信憑性が低いものもあるそうです。
そんな彼について詳しく知ることができる場所が熊本県上天草市にあると知り、行ってみることにしました。
「天草四郎ミュージアム」は熊本市内から車で1時間20分ほどの上天草市大矢野町の天草四郎公園内にある歴史館です。
歴史を知るって少し固いイメージですが、反して、まず最初に目に飛び込んできたのはかわいい外観の建物!
外壁はクリーム色と白が基調でころんとした丸みを帯びたフォルム。
キリシタンの弾圧に対する一揆を起こした天草四郎の資料館だけあって、ステンドグラスや十字架も施されていて教会を思わせるような建物です。
地面には足の形があり、足跡の上に立って写真を撮るとインスタ映えする写真が簡単に撮れちゃいます。
しかも、天草四郎ミュージアムをスマホのマップで検索すると、ちゃんと複雑な建物の形が再現されていて感動!
これは謎解き!?十字架に書かれた不思議な言葉
建物の前には大きな十字架が建てられています。ここに不思議な言葉が・・・。
「さんしやる二 こんたろす五 くさぐさの でうすのたから しずめしずむる」。
この不思議な文章は江戸の末期にある少女が上津浦の洞窟から見つけた十字架に書いてあったもので、その少女は嫁ぎ先にも十字架を隠し持っていき、死ぬ直前まで誰にもその存在を話さなかった、と説明が書いてあります。
そして、今ではこの言葉は天草に伝わる「オラショ」という祈り文の一部で、「サンシヤル」は聖なる遺物、コンタロスはポルトガル語でロザリオ、そういったものを鎮めて沈めた、と解釈されているそう。
天草地方には一揆軍が鎮圧される前に、黄金の十字架や金銀製の燭台20基、宝石をちりばめた王冠など時価数十億の軍資金を天草島内に隠したという言い伝えがあり「十字架に書かれた言葉が天草四郎の軍資金の隠し場所ではないか」と世間を騒がせたこともあるんだとか。
昔、徳川埋蔵金を探すテレビ番組は見たことがあるけど、天草にも埋蔵金伝説があったんですね。
楽しみながらしっかりと歴史を知ることができる工夫がたくさん
館内に入ると展示コーナーの中心には、巨大な船がドーンと鎮座しています。
これは南蛮貿易が栄えていた時代に頻繁に使用されていた南蛮船のゴールデンハインド号の模型で、かなり大きいのに実物の2分の1のスケールだそう。
スペインやポルトガルの船が日本に来ることで定着した南蛮文化が「時計やめがね、ブドウ酒やオルゴール」。
今では身近なものばかりですね。
模型の周りにもマリア像や十字架など隠れキリシタンにまつわる様々な展示物が展示されています。
日本人なら誰でも知っているフランシスコ・ザビエルの等身大の像もありました。
天草四郎映像館では「天草四郎 永遠の息吹」を鑑賞。天草四郎役の声は、2.5次元俳優の深澤悠斗さん。館内のナレーションがベテラン声優の野田圭一さんの渋く落ち着く声だったり、ランプが幻想的な瞑想空間にはプロジェクションマッピングが使われていたり「歴史=堅苦しい、難しい」ではなく、気軽に触れられて楽しめるポイントがたくさんありました。
天草四郎公園内の散策もおすすめ
このミュージアムに行ったらぜひおすすめしたいのが、敷地内にあるミケネコオリーブさんのオリーブソフト!
オリーブオイルがかかっているってこってりしているのかな?と思いきや、さっぱりとしていておいしいんです。
オリーブオイルを使ったオリジナルのリップクリームや美容オイルもありました。
期間限定で焼いもの乗ったソフトクリームもあるみたいで、それも食べてみたいなあ。
もうひとつのおすすめが「愛の鐘」。
海辺に向かって鐘をつくと潮風が愛を運んでくれるとあり、すごくロマンティック!
しかも「愛」は夫婦やカップルの愛情だけではないようで、友情も深まると書いてありました。友達同士で訪れるのもいいですね。
観劇から興味を持った天草四郎でしたが、弱冠16歳で日本の歴史上最大の一揆「島原の乱」を率いたと言われるカリスマ性や、謎に満ちた人物像、実はイケメンだったという説もあり、映画や小説、ゲームなどいろいろな作品で取り上げられるのも納得です。
天草四郎ミュージアムで歴史に触れて、より一層興味が沸きました。
名称 |
天草四郎公園、天草四郎ミュージアム |
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所在地 |
〒869-3603 |
営業時間 |
9:00~17:00 |
休館日 |
年末年始(12月29日から1月1日)、1月第2水曜日、6月第2水曜日 |
WEBサイト |