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【悩み解決】天草のウニの時期を完全攻略

2023.02.08

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#うに #豆知識

草でウニと言えば、春はムラサキウニ、夏はアカウニ、秋と冬はガンガゼウニです。

季節ごとに違う種類のウニが食べられるのは、それぞれで旬となる時期が違うからです。

すし屋などでは一年中ウニを食べることができますが、お店で提供されるウニも同じ種類のものではありません。

ウニの種類とその旬の時期について解説していきます。

天草の絶品うにを味わいたい方におすすめ

旬とは何か

ウニの旬そもそもウニを含めた魚介類における旬の時期とは何でしょうか。

魚の旬

一般的に魚の旬の時期と言えば、最も味が美味しくなる「味の旬」のことを指しますが、もうひとつの旬として水揚げ量が増加する「漁の旬」があります。

春頃に獲れる真鯛は、桜鯛とも呼ばれ天草でも親しまれています。

この時期の真鯛は「漁の旬」ではありますが、鯛本体の「味の旬」ではありません。

水揚げ量が増える理由は、この時期が真鯛の産卵期にあたるからです。

通常、真鯛は海の深い場所から浅い場所にかけて幅広く生息していますが、産卵期になると浅い産卵場に集まってきます。

そのため、この時期は真鯛の群れを狙って効率的に漁を行うことができます。

しかしこの時期の真鯛は、生殖巣に栄養を回しているため身に脂が乗っていない場合もあり、味落ちしていることがあります。

脂が少ない場合でも、汁物、煮物などで美味しく食べることができます。

鯛のお腹に卵や白子が入っている場合がありますが、こちらは栄養が回っており春の時期だけ楽しめます。

「漁の旬」であれば水揚げ量が増えるので安く手に入りやすいのも魅力です。

鯛本体の「味の旬」となる真鯛は秋頃のものです。

モミジ鯛とも呼ばれるこの時期の真鯛は、産卵期に痩せた身が回復しています。

また、次の産卵期を迎えるより前のため、まだ生殖巣に栄養が回る前の状態となっています。

そのため身には脂が乗っており、どのような料理に使っても美味しく食べることができます。

ウニの旬

ウニの場合はどうでしょうか。

実はウニの身と呼ばれる部分は生殖巣です。

そのため産卵期直前の、最も生殖巣に栄養が回っている状態がウニの旬の時期になります。

生殖巣の構造体は卵ではなく生殖小のうと呼ばれ、精細胞または卵細胞と栄養細胞を有しています。

栄養細胞が先に成長した後、産卵期に生殖細胞が作られるため、栄養細胞が成長し生殖細胞が現れておらず、雌雄の違いがない時期が最も美味となります。

これが食品としてのウニに雌雄の区別がない理由でもあります。

またこの時期のウニの身は殻から取り出しても形を保ちますが、生殖細胞がつくられるにつれて生殖巣が溶けだすようになります。

アカウニやバフンウニは、産卵期に入り生殖細胞が現れてしまうと、雌の卵巣に苦み成分である含硫アミノ酸が出て味が落ちてしまいます。

一方で雄の味は落ちませんが、外見での選別が困難なため雌の個体に合わせて漁も行われなくなります。

旬が違う理由

ウニは暦に合わせて産卵期を迎えるわけではありません。

水温などの海の環境によって成長度合いが変わってきます。

そのため、同じ種類のウニであっても、生息地域の環境によって産卵期が変わり、旬の時期も変わるということになります。

ウニの種類と旬の時期

ウニの種類と旬の時期生息する地域によって産卵期が異なるウニですが、その種類と地域ごとの旬の違いを見てみましょう。

ムラサキウニ

天草のムラサキウニは3月頃に漁が解禁となるため、3月から5月が旬になります。

九州地方では4月から6月、中国地方では3月から4月に旬を迎えます。

北陸地方であれば5月から6月頃が旬と言われています。

北海道の利尻島や積丹で獲れるムラサキウニの旬の時期は6月から8月頃となります。

キタムラサキウニ

東北地方の北側で獲れるもので4月から6月、三陸地方では6月から8月頃が旬になります。

北海道の松前などでは秋以降、12月頃まで盛んに漁が行われます。

バフンウニ

北海道の羅臼では1月中旬から6月にかけて漁が行われます。

北陸地方では7月下旬頃に漁が解禁され、8月頃までが旬となります。

中国地方では6月から7月頃が旬と言われています。

エゾバフンウニ

北海道の襟裳や日高などで3月頃から旬を迎えます。

東北地方では4月から6月頃となります。

アカウニ

天草でアカウニは7月から8月の時期に漁が行われます。

九州地方では9月から10月頃が旬と言われています。

天草で食べられるウニ

天草では毎年春の時期にムラサキウニ漁が解禁されます。

この時期のウニは春ウニとして地元の人たちも楽しみにしており、島内各所で新鮮なウニを贅沢に使った料理を味わうことができます。

ウニだけを使った寿司やうに丼の他、季節の魚や海の幸と共にいただく特製の海鮮丼なども絶品です。

旬の時期の新鮮なウニを食べれば「ウニ嫌いもウニ好きになる」と言われています。

多種多様なウニ

ウニに分類される生物は世界で約870種が確認されています。

日本近海だけでも約140種が生息していることが分かっています。

ウニの生息域

6000mにも及ぶ深海から磯に至る世界中の海に生息しています。

砂泥に潜っているものもおり、天草でも獲れるムラサキウニは低潮線から水深20m程まで、

アカウニは水深10mから20m程の場所に生息しています。

ウニの成長

産卵期に受精したウニの卵は細胞分裂を繰り返し、1~2日でプルテウスと呼ばれる幼生になります。

プルテウス幼生は海中を漂いながら植物プランクトンを食べて成長を続けます。

その後は変態を遂げて稚ウニとなり、小型海藻、付着珪藻類、生物の破片などを食べて大きくなっていきます。

大きくなったウニは昆布やワカメなどの大型の海藻を食べるようになり、2年程で産卵を始めます。この頃のウニはまだ漁獲対象ではありません。

3~4年程経過して殻経5cmを越えると漁獲され始めます。

ウニの寿命は近年の調査研究結果で、種によっては200歳にも至ることが分かりました。

また、100歳を超えても生殖能力は10歳のウニと変わらないことも分かっています。

ウニの歴史

ウニは1億年以上前の太古の化石が見つかっていることから、大昔から生息していたことが分かっています。

日本においては縄文時代の遺跡や貝塚からウニの殻や棘が見つかっており、5000年以上昔から食用されていたと考えられます。

記述として書物に登場するのは757年施行の「養老律令」です。

書物中の「ガゼ」がウニを指していると言われています。

ウニの正確な語源は不明ですが、一説には「海胆」は海の腸という意味で、海胆を訓読した「ウミイ」が「ウニ」の語源であるとされています。

「海胆」「海栗」「宇仁」などの文字は他の古文書にも登場しており、その頃は生食されていたと考えられています。

表記の違い

同じウニでもその表記は様々です。

「海胆」以外で「海栗」はウニの見た目が栗に似ていることに由来しています。

江戸時代以降にみられる「雲丹」という表記は、生ウニではなく塩を加えるなど加工したウニのことを指します。

中国から伝わった言葉で「雲」は集まりを指し「丹」は赤いという意味があります。

現代のウニ

市販されているウニは殻から身を取り出してあり、時間経過しているため、生臭さがある場合や、保存や型崩れ防止のためにミョウバン・アルコールが添加されて風味が劣ってしまう場合が多いです。

しかし一方で、殻ウニの場合は殻を割るまで品質の良し悪しが判別できないため、すし屋をはじめとする飲食店では、一定の品質が保証されるミョウバン処理された箱ウニを使うことが殆どです。

保存処理が行われていない生ウニは貴重で産地でなければ食べることは難しいかも知れません。

また近年では、食味や風味の劣化を防ぐために塩水でパックされたものも出回っています。

一般に生ウニとして板に載せられて販売されているものは、生殖細胞が混ざったものです。

このうち精巣が混ざっているものの方が濃厚で美味とされており、精巣混じりのもののみを集めたものは高級すし店などに卸されています。

ウニ漁の時期

ウニ漁ウニ漁は行われる期間を決めて行われますが、時期によって味落ちしてしまうことだけが理由ではありません。

資源管理

ウニはその生態により比較的漁獲しやすい資源です。

そのため資源減少率が大きくなりやすく、1漁期に7割以上に達してしまうこともあります。

際限なく漁獲を繰り返してしまうと資源が枯渇してしまうため、禁漁期間の設定や、漁獲サイズの規制、漁場・漁獲量の管理など行われています。

その他、密漁対策や稚ウニの放流、海洋汚染の防止、外的駆除など総合的な対策がとられています。

赤ウニ漁も行われている五和町では、藻場の再生のために軟体サンゴであるウミアザミの駆除が行われています。

ウミアザミが着生した岩場は海藻が生えないため、ウミアザミの駆除を行って藻場を再生することで、産卵場所や稚魚などの小さな生物が育つ場所を作り出しています。

また海藻が生い茂る豊かな海の管理は、イルカとの共生も可能にしています。

天草の春の味覚

天草でムラサキウニと言えば春の味覚ですが、春に堪能できる天草の味覚はムラサキウニ以外にもあります。

アオサ

冬の海から海藻が育ち穏やかな春の海になるころ、天草の海では緑藻の「アオサ」が採れ始めます。

磯の香りと食感が楽しめるアオサは、お味噌汁や酢の物にしても美味しく食べられます。

アオサは晩春までが旬となります。

クロクチ

春から初夏にかけて旬を迎えるクロクチ貝。

一般的にはムラサキインコ貝として知られる貝です。

海水でクロクチを炊くだけでも美味しい貝で、食感はムール貝に似ています。

お味噌汁やパスタに使っても美味しい食材です。

サクラダイ

天草の海は真珠の最終仕上げ場としても利用される程、水質が良いことで知られています。

そんな天草の海で育ったサクラダイは、干満差の大きい天草の潮流に揉まれて身が引き締まり、程良く脂が乗っているためあっさりとした風味が特徴です。

「天草さくら鯛」は天皇家にご用命を賜った、天皇家御用達のブランド真鯛としての歴史と伝統も併せ持っています。

古くから高い評価を受けてきた天草のサクラダイは、全国の高級店でも使用されています。

程良い脂で食べやすいサクラダイは、刺身として美味しくいただけます。

また、鯛しゃぶや煮付けにするのもおすすめの食べ方です。

天草の絶景スポット

天草の夕陽ムラサキウニ漁が行われる天草西海岸は夕陽の絶景スポットとしても有名です。

天草を訪れた際におすすめの、観光スポットを紹介します。

下田の夕陽

下田の夕陽は「日本の夕陽百選」にも選出されました。

水平線に沈む夕日に、180度の広々とした眺望が魅力です。

季節に限らず一年中見ることができます。

また下田は温泉地として知られており、旅の宿としても人気です。

下田温泉は熊本県で3ヵ所しかない「国民保養温泉地」にも選ばれています。

天竺のツツジ

天草諸島下島に位置する標高538mの天竺は下島で最高峰の名峰です。

山頂から雲仙普賢岳や東シナ海をパノラマビューで望むことができます。天気の良い日であれば阿蘇の噴煙も確認できます。

5月上旬ごろには2000本のツツジが満開を迎え、美しい山を赤く染め上げます。

妙見浦

天草灘に面する天草西海岸は奇岩・海食洞・岩礁が連続した地形となっています。

風光明媚な海岸で知られる中でも、妙見浦は代表的な景勝地で、国より名勝及び天然記念物の指定を受けています。

一帯は100m級の断崖が陸に差し迫っており、無数の岩礁や洞窟を見ることができます。

大規模な妙見洞門や妙見洞窟を筆頭として、様々な奇岩・奇勝が連なっています。

海岸に落ち込むように樹木が生い茂り夕陽の名所としても知られています。

周辺の「西平椿公園」「鬼海ヶ浦展望所」からの眺めは「日本の夕陽百選」にも選出されています。

また、海の透明度が非常に高く、一帯にある天草海中公園は国内で初めて指定となった海中公園でもあります。

大江教会

キリスト教の解禁以降、天草で最も歴史ある教会で、現在のロマネスク様式の大江天主堂は1933年にフランス人宣教師ガルニエ神父が地元信者と協力して建立したものです。

「世界文化遺産」の構成資産にもなっています。

敷地内にはガルニエ神父の像やルルドの聖母像があり、教会内部ではステンドグラスや装飾などを見ることができます。

崎津教会

長崎の建築家・鉄川与助により設計されたゴシック様式の教会です。

現在の教会は1934年にフランス人宣教師ハルブ神父の時代に再建されました。

尖塔の上には十字架を掲げた重厚なゴシック様式の教会ですが、堂内は国内でも珍しい畳敷きになっています。

穏やかな羊角湾のそばに建つことから「海の教会」「海の天主堂」とも呼ばれ、﨑津集落の他の地域とともに「世界文化遺産」の構成資産にもなっています。

夏の赤ウニ

天草では7月中旬頃から8月中旬頃にかけてアカウニ漁が行われます。

春のムラサキウニより漁期も短く貴重なアカウニは、ムラサキウニより美味しいとも言われ、地元天草の人たちにも人気のウニです。

貴重なアカウニは産地で消費されることが多いため、全国に流通することは滅多にありません。そのため「幻のウニ」とも言われています。

そのまま刺身でも美味しく、お店では主にうに丼や海鮮丼で味わうことができます。

春のムラサキウニと合わせて、夏にも是非産地で味わうことをおすすめしたい逸品です。

天草の絶品うにを味わいたい方におすすめ