﨑津教会は熊本県天草諸島の下島南西部に位置するゴシック様式の教会で、教会堂が建つ天草市河浦町﨑津一帯の﨑津集落は、2018年6月にユネスコ(国際連合教育科学文化機関)により「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界文化遺産に登録されました。
集落一帯に、世界的な文化価値が認められているというのもすごいですよね。
「漁港がインスタ映えすると話題」って、漁港とインスタ映えってなかなか結びつかないおもしろい組み合わせ。
どんどん興味が高まる﨑津集落に注目が集まっています。
﨑津集落の環境
国道389号線をひた走りトンネルを抜けると、左手に見えてくるのが﨑津集落。
海とも山とも距離が近くてのどかな雰囲気が広がります。
教会に向かって歩いていると、あちこちに小さな路地。
これは「トウヤ」と呼ばれる海に続く小道で、進んでいくと海が目の前にあります。
海に突き出たテラスのような場所は「カケ」といって、ここに船を停めたり、魚を干したりする生活に適している場所なんだそうです。
冬の寒い時期の朝には朝霧に浮かぶ幻想的な﨑津教会を見れます。
歴史と思いが詰まった﨑津教会
駐車場から民家が立ち並ぶ路地を進んでいくと、空へ向かってそびえる尖塔と十字架、そしてステンドグラスの丸窓がかわいい﨑津教会が見えてきます。
目の前の海は羊角湾といい、背後の海に溶け込むように建つことから「海の天主堂」とも呼ばれるそうです。
インスタで検索すると漁村について触れている方も多く、その雰囲気を体験したくなります。
﨑津集落では多くの猫が住んでおり、猫さんたちにも挨拶をしながら写真を撮影する楽しみもあります。みんな”人懐っこい”そうですが、エサやりは厳禁とのことです。
教会を目の前にすると海と教会のセットという、普段お目にかかれない独特の世界観が出迎えてくれます。
おすすめはまず外観を楽しむこと。
教会堂は16世紀ごろまでヨーロッパの各地で多く見られた、ゴシック様式の瀟洒な雰囲気。
教会を囲むレンガ塀の一部は、十字架の形にくりぬかれています。
地元の方に教えてもらったのですが、
この十字架越しに教会を撮影した写真がおすすめだそうです。
もちろん私もばっちり撮影しました。
堂内に足を入ると、畳が敷かれています。漆喰の白い壁とのコントラストが素敵で、建設当初から日本の生活様式が取り入れられているそう。
当時の信徒の方々は床に座ってミサに参加していたとのこと。
背筋がピンと伸びるような、厳かな空気が漂う教会内で晴れの日はステンドグラスから優しく光が差し込んでいて、西洋と日本の文化の融合を感じることができます。
美しい堂内、ここは撮影禁止なので、一目見るために国内外から多くの観光客が訪れます。
(教会堂の拝観には、事前の予約が必要です。)
天草地方とキリスト教の歴史
天草とキリスト教との歴史は深く、1569年(永禄12年)に布教が開始されると、多くの村人がキリスト教徒になったそうです。
でも、1638年(寛永15年)の禁教令から一変、キリスト教を信仰しているだけで激しい迫害に遭うことになります。
今、﨑津教会堂がある場所は、﨑津村の吉田家という庄屋の跡地だそうです。
教会内の祭壇が設置されている場所が、正に厳しい絵踏が行われていた場所で、弾圧後の明治時代に、フランス人宣教師のハルブ神父がこの絵踏のあった場所に建てたいという強い願いから建立されました。
日常生活を送りながら密かに信仰を続けることを「潜伏キリシタン」「かくれキリシタン」と呼ぶことや、キリストや聖母が描かれた踏み絵を踏ませる「絵踏(えぶみ)」が行われていたことは学校の授業でも習いましたが、教科書の中の遠い出来事だった「禁教」や「絵踏」を、こうして実際に目の当たりにすると、ぐっと身近なことのように感じます。
今の日本では、色々なことを自分で自由に選び取ることができるけど、迫害を受けてきた人たちがどんな気持ちで、ここで祈りを捧げていたのかと考えながら散策すると、より没入することができます。
様々な表情を見せる教会堂
拝観を終えても、集落は広いため散策して地域を楽しむことができます。
熊本駅や阿蘇くまもと空港からは車で2時間ちょっとで離島に渡ることができ、天草四郎を代表する南蛮を取り入れた独特の文化や自然、歴史に触れてみてください。
仏教、神道、キリスト教が共存してきた漁村だからこそ「漁村とインスタ映え」や「教会と畳」といった、一見ギャップがありそうなアイテムでも、自然に融合しています。
教会堂のすぐ近くには、﨑津諏訪神社という神社があり、ここの鳥居越しに望む教会堂も素敵です。対岸から、山に包まれたような集落と教会堂の尖塔を眺めるのもおすすめで、様々な表情に出会えます。
教会堂に程近い旧﨑津教会跡やハルブ神父の墓にも行かれてみてください。教会跡は当時のまま残っていて、マリア像が凛とそびえています。
﨑津集落は、日本の渚百選や日本のかおり風景100選、国の重要文化的景観にも選ばれた穏やかな街並みです。
その一角にある民家に囲まれた静かなたたずまいの﨑津教会堂には、「映える(ばえる)」ではなく「映える(はえる)」と表現したくなるような魅力が満載。
きっとみなさまの再訪したい場所のひとつになります。
名称 |
﨑津教会 |
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所在地 |
〒863-1204 |
WEBサイト |
アマカラスタッフより補足情報♡
この記事の中で掲載しています﨑津集落ですが、詳しく知りたい方にオススメのツアーをご紹介いたします!
https://www.t-island.jp/tour/sakitsu-10
このツアーでは、﨑津集落の歴史はもちろん、「カケ」や「トウヤ」など、当時の生活の様子などの話も交えながら地元の観光ガイドが説明をしてくれます。
現地の天草弁(方言)に触れるのも旅の楽しみの一つ。
また、このツアーの醍醐味が“海上マリア像クルーズ”。
昭和49年に信者さんによって建てられたというマリア像。
地元の漁師さんたちが漁に出る時大漁と航海の安全を願って祈りを捧げているそうです。
海上のマリア像は海からでないと見れないので必見ですよ。
参加人数によって金額は変わりますが、お一人からお申込み可能です。