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大切な人に飲んでほしいという情熱から作るお茶「栖本製茶工場」

2023.11.14

※掲載内容は公開時点のものです。ご利用時と異なることがありますのでご了承ください。

#グルメ #天草市 #栖本製茶工場

こんにちは!アマカラ編集部の荒木です!

こちらでは、あまからおすすめの商品とそのお店のこだわりや想いなど、取材してきた内容をご紹介していきます。

今回紹介するのは日本ではとても珍しい「釜炒り」という方法でお茶を生産されている「栖本製茶工場」。

日本で古くから団らんのお供として親しまれ続けているお茶。
生産されているお茶のほとんどが蒸し製の中、栖本製茶工場さんで生産しているお茶の製造方法は釜炒り製。
なんと日本で生産されている茶生産量の1%以下。

茶葉を釜で炒って作る釜炒り茶は、その独特な香りを爽やかな黄色の色合いとともに楽しめます。

 

今回お話を伺ったのは「栖本製茶工場」の猪原真滋さん。 釜炒り茶へのこだわりや生産するに至るまでの経緯などさまざまなお話をお聞きしました。

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日本に伝わったお茶の原点

―「釜炒り茶とはなんですか?」

皆さんが普段ご家庭で飲んでいるような煎茶や玉露など日本のたいていのお茶は高温で蒸すことによって発酵を止めるのですが、釜炒り茶は文字通り直火で熱した釜で生の茶葉を炒ることによって発酵を止めるんです。

この“炒る”という工程が入ることによって青臭さが消え、皆さんが普段ご家庭で飲んでいるような煎茶とは違ってさっぱりとした独特な香りや風味が生まれます

ただ、この炒るという作業にどうしても手間がかかってしまいますし、釜自体も300℃以上の高温になるので蒸す機械のように大型化が難しいっていうのもあって生産する農家さんは少なく、生産量も自ずと少なくなってしまっているんだと思います。

 

―「なるほど、だからこんなに生産量が少ないのですね。」

でも実は中国では釜炒りが一般的なんですよ。
むしろ日本のような蒸し製の緑茶は少数派です。

釜炒りの製法は15世紀頃、中国から伝わったと言われていて、煎茶が普及する前の緑茶はすべて釜炒り製でした。
なので釜炒り茶は日本のお茶の原点だと言えると思います。

釜炒り茶生産に至るまでの歴史

―「釜炒り茶を生産しようと思ったきっかけはなんですか?」

実家は元々旅館を営んでいましたが、先代の時(昭和30年代)に静岡へみかんとお茶を学びに行きました。

そしてその後熊本へと戻ってきた際に、静岡で学んだ知識をいかして、天草のこの場所にみかん畑と茶畑を作りました。
私が今、釜炒り茶の生産に携わっているのは、この家業を継いだからです。

試行錯誤を繰り返し誕生した一品

―「しかし、海抜100mのこの地域でお茶を育てるというのは難しいのではないですか?」

確かに茶葉の生育においては、海を見下ろす高台にあるこの地域は悪条件です。
本来、お茶は霧のかかるような高地かつ朝夕の気温の差が多い所で育った茶葉で作られたものが良質なお茶と言われていますので、こんな所でおいしいお茶はできないだろうと思われるかもしれません。

しかし、フルーツトマトと呼ばれる甘いトマトは潮風の被害を受けた畑から生まれたのをご存じですか?
実際、大きな台風が来ると当工場の茶園も塩害を受けることがあります。

そんな茶園でも美味しい釜炒り茶ができると信じて、気象条件に合わせたお茶作りを目指して、栽培から製造に至るまで何度も試行錯誤し、努力を重ねてきました。
結果、九州および熊本県茶品評会、全国茶品評会にて優勝。これまでに農林水産大臣賞を8回受賞してきました。

―「度重なる試行錯誤の先に誕生した努力の賜物なのですね。」

・日本茶アワード「うまいお茶部門」でプラチナ賞受賞
・全国の茶業者が集いお茶の鑑定技術を競う全国茶審査技術競技大会で優勝

思いを込めた天草産和紅茶「ロザリオの夢」

天草和紅茶「ロザリオの夢」

天草五橋が開通する4年前の昭和37年。先代が紅茶好きな妻、つまり私の母のために、当時天草ではなかなか手に入らなかった紅茶を、自分で作っていつでも飲めるようにしたいと思い、船で天草を出て「べにほまれ」という紅茶の品種の苗木を譲り受け、天草に持ち帰って植えたのが始まりです。

そこから試行錯誤しながら昭和41年、「ロザリオの夢」が誕生しました。

 

―「先代の、奥様を思う気持ちがすべての始まりだったんですね。」

今も「大切な人に飲んでもらいたい」というその想いと情熱をそのままに、当時の製法を受け継ぎながら、このロザリオの島 天草で育てた茶葉で紅茶を作り続けています。

 

―「私もいただいてみましたが、ほんのり甘くて優しい味でとても飲みやすい味でした。何か秘密があるのでしょうか?」

ロザリオの夢に使っている「べにほまれ」という品種はタンニンが多いため、緑茶にすると渋みが強くなります。
紅茶にする場合でも、べにほまれ単体で作ると風味や香りは良いのですが、味が淡泊で渋みが出ます。
渋みが少なくより飲みやすくするために、他の品種とブレンドして作っています。

天草和紅茶「ロザリオの夢」(あまからオリジナルパッケージ)

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安心安全へのこだわり

―「お茶の魅力についてたくさん教えていただきました。他に大切にしていることはありますか?」

やはり、衛生面には気をつけています。
毎年検査機関で大腸菌や一般細菌類の検査また残留農薬の検査を受けて安心安全と認められた茶葉のみをお届けしています

取材を終えて:アイスティを交えて夫婦のほっこり話

取材中に奥様が出してくれた「ロザリオの夢」のアイスティは非常に美味しかったです。
猪原家では麦茶の代わりにこのアイスティを飲まれるそうですよ。

お茶をいただきながら、いろいろなお話を聞かせていただきました。

真滋さんが20代の頃、当時の栖本町のALTとの交流研修で1週間ほどイギリスとフランスに行かれたことがあるとのこと。
イギリスのニューカッスルに行った際、紅茶アールグレイの名前の由来となった「グレイ伯爵(1830年代英国首相だった)」の銅像があり、偶然訪れた場所で紅茶で有名な人の銅像が見られたことに感動したそうです。

余談ですが、この時真滋さんはランニングがブームでイギリスやフランスでもランニングをしようと外に出たそうです。

イギリスではホテルの近所に銃を持った警官を見て怖くなり逃げていたらホテルに帰れなくなったり、フランスでは石畳ばかりで走れなかったりと、楽しいエピソードをたくさん話していただきました。

そして、その当時を懐かしんでか、最近は英会話も少し勉強されているそうです。

 

お茶作りだけでなく、常に様々なことに興味を持ち、チャレンジする姿に感銘を受けました。
真滋さんが話している隣で、奥様も常に笑顔で、二人の仲の良さを間近で感じることができました。

天草では栖本製茶工場の茶葉を使ったスイーツを販売しているお店もたくさん!

天草には、栖本製茶工場の茶葉を使ったスイーツを販売している多くのお店があります。

 

ロザリオの夢を使ったパウンドケーキ

﨑津にあるケーキショップ「KUROSHIO」さんでは、「ロザリオの夢」を使ったパウンドケーキや紅茶プリンを作られています。

たい焼きカフェ「まるきん」さんでは、たい焼きのクリームに栖本製茶工場の茶葉が使用されています。

また、過去にはUHA味覚糖が製造した天草の塩あめにも、栖本製茶工場の茶葉が使用されていたそうですよ。

 

大切な方やお客様のことを思いながら作られ続けている茶葉は、多くの方に愛されています。

栖本製茶工場のお茶や紅茶は、お店はもちろん、天草島内の物産館でも購入することができますので、天草にお越しの際にはぜひ足を運んでみてください。

名称

栖本製茶工場

所在地

〒861-6305
熊本県天草市栖本町湯船原1075

営業時間

7:00~20:00

電話番号

0969-66-2013

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